税理士を探している方々にとって、税理士をどうやって選べばいいんだろう？という素朴な疑問があると思います。そこで、ここでは、私が考える税理士を選ぶときのポイントについて、書いてみたいと思います。私が考えるというように、あくまで一経営者としての私見ですので、その点をご了承ください。

相性が大事 

　会社の内実をさらけ出し、長い付き合いになるのだから、相手との相性は意外と大事です。遠慮せず気軽に質問できそうな雰囲気か、お互いに信頼関係を築けそうか、悩みなどの相談等を親身に聞いてもらえそうかなど、長期的にビジネスパートナーとして付き合っていけるかどうかを、直接面談して判断することをお勧めします。

会社経営（事業経営）に役立つ税理士かどうか

　税理士に申告書の作成や帳簿の記帳をただお願いするだけではもったいないと思います。例えば、１年間まとめて会計処理をして、確定申告ができればＯＫというのでは、会社の経営には役立ちません。（どんぶり勘定でいくら儲かっているかが後でしかわからないので、役立たないし、すでに打ち手もありません）

　それより、毎月会計処理をして、タイムリーな会社業績を把握すれば、今後の会社経営をどう修正すればいいのかなど、いろいろ手を打つことができます。また年間予算を立てれば、毎月予算と実績との対比ができ、現状把握ととも目標達成するための必要な手段もみえてきます。

　税理士も専門サービス業ですから、会社が長期的に成長、発展することをサービス（ご支援）する仕事であると思います。税理士も会社の成長なくして成長なしなのです。

　せっかく税理士に頼むのだから、後者のような会社経営（事業経営）に役立つ税理士を選択することをお勧めします。

料金と委託業務内容の確認

　税理士へ年間に支払う料金は委託業務内容と関係があります。以下でそれぞれ簡単に説明します。

　●税理士への年間支払料金は、大まかな項目だけでいえば、月額顧問報酬、決算報酬（申告書作成料）、年末調整・法定調書関係報酬です。これらを合計した金額が年間顧問報酬金額になります。

　料金は、年額で考えるべきだと思います。仮に月額顧問報酬が安くても、決算報酬などを合計すると、月額顧問報酬の高い方がトータルで安いという場合もあるからです。これらは各税理士事務所により料金体系が異なることによります。

　●委託業務内容は、かなり細分化されていますので、ここでは料金に関係する一般的な項目について書きます。

①会計事務所の関与度合

　毎月訪問、２ヶ月に１回訪問、３ヶ月に１回訪問、半年に１回訪問、１年に１回訪問（申告時のみ）などがあり、通常、毎月訪問が一番料金がかかります（ただし、会社経営にとってはベスト）。

②記帳代行の有無

　帳簿を会社側で作成入力するか、それとも税理士事務所で作成入力（いわゆる記帳代行）するかにより料金が異なります。通常、税理士事務所へ記帳代行した方がその分料金がかかります。

③会社の規模（例えば売上高）および仕訳数(会計処理数）

　会社の売上高が大きいほど、通常は仕訳数が多く、税理士事務所の業務時間が多くなるので、その分料金がかかります。なお、業種・業界により異なります。

④経営計画および決算予測などマネジメントアドバイス業務

　会社の年間経営計画書作成への経営助言および支援、決算予測検討などによる経営助言などが標準業務となっていれば、その分料金がかかる場合があります（ただし、会社経営にとってはベスト）。

⑤担当者が誰であるか

　税理士事務所で担当になる人が、税理士である所長なのか、ベテランの事務所職員なのか、中堅の事務所職員なのか、新人の事務所職員なのか等により料金に影響がある場合があります。例えば、税理士である所長が担当であれば、通常、料金は高くなります。これは、税理士である所長と新人の事務所職員とでは、通常、業務レベルが違うからです。

⑥給与計算の有無

　通常、給与計算は会社側が行いますが、税理士事務所に給与計算を委託する場合には、その分料金がかかります。

　以上、上記項目が料金に関係する一般的な項目となります。なお、税理士事務所により異なるので、あくまで参考と考えてください。

料金と委託業務内容はリンクしており、その内容により、年間の税理士への支払金額が異なります。つまり、自分の会社に合わせた委託業務内容により料金を考えることが必要になります。単純な支払総額で税理士選定の判断をするのではなく、委託業務内容をよく考えた上で料金を考えることをお勧めします。なお、独立開業など創業まもない会社を対象に、期間限定で料金を減額してくれる場合もありますので、そういうケースでは、ざっくばらんに税理士にご相談してみてもいいと思います。